今日はトチの実のアク抜き処理をKさんのお母さんに教えてもらう。朝9時過ぎ、お母さんを愛車にお乗せして上根来へ。下界はすっかり春だが、上根来はまだまだ雪の中である。実際、寒い。
秋に拾ってきたトチの実は、すぐに虫出し(水に一晩漬ける)して乾燥したあと保存しておく。アク成分(渋み成分。タンニンとサポニン)が強いのでしっかり乾燥しておけば保存期間は長くしてあったもので、今日使う実は3年前の秋に拾ったものだという。これを貯水槽に一週間漬けて、柔らかくしてあるものを水から上げ、水場で洗う。
皮むきが今日の作業。硬い木を使った皮むき器でゴリゴリと皮をむく(とても硬いので殻を割るという感じ)。イメージとしては、下板は厚い板、上板は細い丸太を縦割りにした感じで、針金で一方を連結してある。そして上下板の間に実を挟んで、テコを使って割る。このとき、押しつぶすのではなく、押しつぶしかけたあと横にひねってすりつぶし気味に殻を割る。コツがいる。
こんな感じで殻が割れる。ちゃんと乾燥してあると実離れがいいという。
皮を向いた実。渋皮つきのクリの実に似ている。
ここへ灰を少し入れてお湯をひたひたに入れ、2時間ほど放置する。この工程を入れると、あとで灰汁で煮る時に煮崩れしにくいのだそうだ。お母さんが先代から受け継いだ方法だそうだ。こういうちょっとした工夫がセットになって受け継がれてきたのだなあ。
2時間ほど置くと、お湯は濃い茶色になっている。灰(というかカリウム)を入れたから水はアルカリになって、水溶性のタンニンだけでなくアルカリ溶性のサポニンも出てきているはずだ。
これを水場で洗。洗っていると泡がぶくぶく。界面活性化作用である。サポニンは石鹸代わりに使われていたので当然だ。そしてまたネットに入れて流水に一週間漬けておき、本番の灰汁で煮る行程に進む。いやはや手間がかかるものだ。